スワンガンツカテーテルの目的と看護

こんにちは、こないだまでICUの研修に約1カ月ほど行ってきました。そこで学んだことをお伝えしていきたいと思います。なかなか定期的に更新できないですけど。少しずつ慣れていきたいと思います。

ICUでは、病棟で見ることのできないものばかりで初めて見るものばかりでした。心外の手術後ではよく挿入されてるカテーテルです。

スワンガンツカテーテルとは

患者の循環動態を連続的にモニタリングすることができるカテーテルです。
 右心房圧(right atrial  pressure:RAP)、
 右心室圧(right ventricular pressure:RVP)、
 肺動脈圧(pulmonary artery pressure:PAP)、
 肺動脈楔入圧(pulmonary artery wedge pressure:PAWP)、
 連続心拍出量(continuous cardiac output:CCO)、
 混合静脈決酸素飽和度(mixed venous oxygen saturation:SvO2)等を啓示的に測定できます。

 

出典:エドワーズライフサイエンス|スワンガンツ・サーモダイリューション・カテーテル

目的

心拍出量、肺動脈圧、右心房圧(中心静脈圧)、右心室圧および肺動脈楔入圧の測定による心不全や心臓手術後の血行動態や心機能を評価。

適応

・重症の左心機能低下患者
・急性心不全患者、慢性心不全の急性増悪
心臓手術後の患者

 

カテーテルで得られる測定項目、基準値

 

RAP(右房圧)/CVP(中心静脈圧)

右心房の圧のことで、中心静脈圧(CVP)と同じです。右室の前負荷(循環血液量)の指標になります。
基準値:2~6mmHg (平均4mmHg )
上昇:循環血液量増加、うっ滞、右心不全、心タンポナーデなど。
低下:循環血液量減少、末梢血管拡張、脱水など。

RVP(右室圧)

右心系の後負荷や肺血管抵抗の指標。
基準値:15~25/0~8mmHg
上昇:PAP上昇、肺高血圧症、肺動脈狭窄、右心不全右心梗塞、心タンポナーデなど。

PAP(肺動脈圧)

肺血管抵抗や右室の後負荷の指標になります。
基準値:15~25mmHg/8~15mmHg(平均10~20mmHg)
上昇:肺うっ血、肺高血圧、肺塞栓症など。
低下:循環血液量減少。

PAWP(肺動脈楔入(せつにゅう)圧)

肺動脈楔入圧は左心房の圧を反映していますので、左心系の心機能の評価ができます。肺動脈でバルーンを膨らませて肺動脈を塞いだ時に、カテ―テルの先端にかかる圧のことです。左房圧と等しい。左室の拡張期終末圧と等しい。
基準値:6~12mmHg
上昇:左心不全、循環血液量増加など。
低下:循環血液量減少など。

 

ベッドサイドモニター

このようにベッドサイドモニターには、HR、ABP、PAP、CVPなどが出ています。

 

 

 

 

 

 

出典:看護roo

SvO2(混合静脈血酸素飽和度)

酸素化された血液の供給と末梢での酸素消費のバランス。
基準値:60~80%
上昇:高濃度酸素吸入、肺動脈カテーテル楔入状態、敗血症、低体温、左→右シャントなど
低下:心拍出量減少、酸素需要量増加、酸素供給量減少など。

CO(心拍出量)

1分間に心臓が送り出す血液量。
基準値:4~8L/分
上昇
:感染性ショック、循環血液量増加など。
低下:心収縮力の減退、循環血液量減少など。

CI(心係数)

心収縮力の評価。心拍出量を体表面積で割り、体格の差を補正したもの。
基準値:2.5~4.2L/分/m2
上昇:感染性ショック、循環血液量増加など。
低下:心収縮力の減退、循環血液量減少など。

ビジランスヘモダイナミックモニター

ビジランスヘモダイナミックモニターにはSvO2、CI、COなどが分かります。

正確な値を出すにはキャリブレーションが必要です。

 

 

出典:エドワーズライフサイエンス

 

組織酸素代謝の指標

SvO2(混合静脈血酸素飽和度)からわかります。

混合静脈血とは全身を巡った血液が上大静脈、下大静脈から右房右室へと流入し混ざり肺動脈に達した時の血液のことです。肺動脈血のことです。どれだけ組織で酸素を使われたかの指標ですね。

SvO2=SaO2ーVO2/1.34×Hb×CO

この方程式よりSvO2の決定因子は動脈血酸素飽和度(SaO2)、酸素消費量(VO2)、ヘモグロビン値(Hb)、心拍出量(CO)の4つの因子です。

SvO2が異常の場合は、4つの因子に注目し、どれが原因であるか総合的に判断し、治療することが重要です。

心不全評価

心係数と肺動脈楔入圧から評価できます。

心係数(CI):心拍出量(CO)を体表面積で割った値です。(心拍出量は心拍数×1回拍出量)。

心係数と肺動脈楔入圧からフォレスター分類を用いることで心不全の評価ができます。

 

 

 

出典:心臓リハビリテーション.site

 

 

カテーテルの挿入

挿入部位:①内頸静脈、②大腿静脈、③鎖骨下静脈、④尺側皮静脈。一般的には①②

スワンガンツカテーテルは先端が入っている場所により波形が変化します。

内径静脈や代替静脈からスワンガンツカテーテルを刺入し、モニターを見ながら右房から右室、肺動脈に進め、先端の圧が肺動脈楔入圧波形になったらバルーンから空気を抜く。その後、カテーテルを少し引き、バルーンを拡張させると肺動脈楔入圧波形が得られ、収縮させると肺動脈圧波形となる位置に固定する。

出典:臨床工学技士のななめ読み、ななめ書き。

挿入時の心内圧変化アニメーション

通常は、先端は肺動脈に位置するため、モニター上は肺動脈圧の波形が表示されています。波形が右房圧や右室圧の波形の場合はカテーテルが抜けている可能性があります。

モニター上の波形が肺動脈楔入圧の波形の場合はバルーン拡張し楔入しているため肺動脈の血流が遮断されているため肺梗塞を起こす可能性があります。

出典:エドワーズライフサイエンス|スワンガンツ・サーモダイリューション・カテーテル

 

合併症

・カテーテルの刺激・穿刺による気胸、血胸、不整脈。
・血栓による肺梗塞
・肺動脈楔入による肺動脈損傷。

看護、観察ポイント

モニターの観察:値、波形、アラーム設定など。
全身の観察:炎症反応の有無など。特に重篤な患者さまが適応なので、全身状態の観察は充分に行う
挿入部の観察:発赤・疼痛・出血・腫脹・熱感、浸出液はないか?
ルートの観察:固定テープの剥がれ。カテーテルの抜け。何cm入っているか。ルートの接続状態の確認 。
加圧バック、0点公正。コネクタが正しいものにつながっているか。
バルーンが収縮された状態でロックかかっているか。
自己抜去の恐れがある方には場合には、抑制を行なうこともあります。

まとめ

スワンガンツカテーテルは術後や急性心不全等の重症な患者さんのモニタリングをするのにとても有効ですが、侵襲てきなモニターです。重篤な合併症も起こりうるので看護師の日々の観察、モニタリングはとても重要です。